2018年1月21日日曜日

札幌駅の配線について考えてみる(7)

 これまで「札幌駅新幹線ホーム建設位置問題」について検討するため,現1・2番線ホームを新幹線に転用した場合を想定し,ダイヤパターンを作成可能かどうかを検証することで,課題を抽出してきた。今回は趣旨を変えて,現況のダイヤ(2018年1月現在)において札幌駅で多くの線路が必要となる時間帯を抽出し,その原因を考察したいと思う。
 そこで,まずは市販の時刻表を参考に以下のような図を作成し,記載のない部分については筆者が目測なり推測なりによって補完することにした。


今回筆者が着目した時間帯は「6時~10時」「16時~20時」である。順序から言えば前者から先に述べる方が自然であるが,今回の記事は後者を対象とし,前者に関しては別途記事を起こすことにする。というのも,今まで作成して来た記事で作成してきたダイヤパターンは,後者を念頭に置いて作成したものだからである。
 作成した図の中から,1番線から10番線まで全て埋まっている・埋まりそうな時間帯を抽出すると,以下のようになる。これらの要因について分析してみることにする。

16:00前後
 旭川行きの特急(5番線)・旭川発の特急(2番線)が同時に在線するとともに,室蘭から来た特急(8番線)がホーム上で折り返している。7番線では夕方ラッシュの需要増に備え(おそらく)手稲の車庫から来た普通列車が札沼線に入っていく。
 これに加え,9番線と10番線には,旭川行きの特急(5番線)の発車を待っている普通列車が2本止まっている。これは,16時より前に発車しても,先述の特急に追いつかれてしまうためである。これを回避するため,どちらか一方が札幌駅に到着するのを遅くしようにも,新千歳空港行きの快速(16:02札幌着,6番線)に追いつかれてしまうためこれも不可能である。

18:00前後
 旭川行きの特急(7番線)・旭川発の特急(1番線)が同時に在線するとともに,函館から来た特急(5番線)がホーム上で折り返している。
 これに加え,8番線と10番線には,旭川行きの特急(5番線)の発車を待っている普通列車が2本止まっている。これは,18時より前に発車しても,先述の特急に追いつかれてしまうためである。これを回避するため,どちらか一方が札幌駅に到着するのを遅くしようにも,新千歳空港行きの快速(18:02札幌着,6番線)に追いつかれてしまうためこれも不可能である。

18:25前後
 旭川行きの特急(7番線)・旭川発の特急(4番線)が同時に在線しているとともに,室蘭から来た特急(5番線)は苗穂側の引き上げ線に向かう際,帯広発の特急(6番線)の到着を待ってから発車している。
 これに加え,千歳方面の普通列車(7番線)と江別方面の普通列車(9番線)が同時に在線している。前者は新千歳空港行きの快速(18:20札幌発,6番線)の発車を待つためこれ以上早く発車出来ず,後者は旭川行きの特急(18:30発,8番線)の待避を厚別駅で受けるため他の時刻での発車は出来ない。さらに,両者は手稲方面からの普通・快速列車であり,これ以上到着を遅くすることが出来ない(235Mが3968Mに追いつかれるため)。
 今回はこれだけではなく,江別方面からの普通列車(2番線)と千歳方面からの普通列車(1番線)が同時に在線する。前者はライラック34号・36号の間で岩見沢~札幌を無待避で走り抜ける。これだけ見ると3~4分ほど後ろにずらして問題ないように見えるのだが,千歳方面からの各駅停車が1番線に入線し,平面交差になるため不可能である。後者は新千歳空港発の快速(18:22札幌着,3番線)に追いつかれてしまうためこれ以上遅くできない。

 どれも似たような形の文章になってしまうのだが,上記の3つの時間帯について共通して挙げられるものがいくつかある。その一つが「旭川方面の特急が同時に2線使用している」ことである。これは,パターンダイヤの副作用とでも言えるだろう。筆者が札幌駅の同時在線数を議論する際,カムイ号が上り(毎時25・55分着)下り(毎時0・30分発)ほとんど同時になるパターンダイヤを仮定するのは,あえて(現駅案側が)不利になることを承知の上でのことである。こうした事情から,カムイ号に専用ホームを割り当てることが難しいのもまた事実である。
 16:00と18:00付近で特急列車がホーム上で折り返していることも,札幌駅の混雑の一因となっている。一方で,先で挙げた図で,特急列車が「同時に」3本以上ホームに存在する時間帯が無いことから,千歳線特急用のホームは2線が必要充分な数と考えられる。苗穂側引き上げ線への折り返しのしやすさを考えると4・5番線(新幹線に1・2番線を転用するならば5・6番線)が該当するだろう。
  また,札幌駅に同方向の普通列車が2本同時に止まっている時間帯が多く,18:25頃に関しては特に顕著である。しかし,この原因を突き詰めて考えると,札幌から手稲の間に待避設備が一つも無く,ダイヤ設定の自由度が極めて低いことに行き当たる。一般的には,引き上げ線がもう1本あれば待避設備の代替が効く(快速のスジを寝かせずに済む)が,この時間帯は帰宅ラッシュ時間帯のため,折り返し(減便)するわけにもいかないだろう。

 ところで,冒頭で挙げた図で一番右の列には,過去のダイヤ(2016年8月)に存在した列車を示している。わざわざ欄を作った一つ目の理由は,2017年3月のダイヤ改正で稚内・網走方面の特急列車のうち札幌~旭川を減便したことで,札幌駅の負担が明らかに減っていることを示したかったことである。また,二つ目の理由であるが,2016年当時存在し,札幌駅に26分間停車していた普通列車(1786M,手稲16:00→16:16札幌16:42→17:30千歳)が,札幌駅で二つの列車に分割され,わざわざ引き上げ線(※筆者は目視による確認に失敗したが,おそらく苗穂側)に収容している点を示したかったことである。要は,札幌駅の同時在線数を減らすためのダイヤ調整は,すでに実施されているのである。
※大雪号の運転開始,サロベツ号の運用方法変更に関しては,車両の走行距離節約という意味合いが強いと思われるが,その副次的な効果として,札幌駅の負担軽減につながっているのは間違いないため,ここに挙げることにした。
 
 最後に,前回記事で作成したダイヤパターン図の適用可能性について考察する。
このダイヤ図は,(快速列車を含まない)普通列車の数にして「ほしみ~手稲3本」「手稲~札幌8本」「札幌~千歳5本」「札幌~江別5本」を想定し,作成している。札幌~江別は現況に対して若干不足気味だが,快速運転が無ければもう少し本数を増やせるし,現況の夕ラッシュ時の札幌→江別下り線で快速運転が行われていないことから,このダイヤ図を仮定することに特段の問題はないと思われる。また「千歳線の特急ホームは(苗穂側への回送を含め)2線が必要充分である」 と判明したため,千歳線の特急に5・6番線を割り当てている上図の仮定も大きくは崩さずに済むと考えられる。もっとも,12分間隔で2本連続で苗穂側に回送となると厳しいように思われるが,向かって後ろのスジを寝かせるなり,向かって前のスジを手稲に回送するなり,何かしらの方法は考え得る。
 一方この図は朝ラッシュ時を想定して作成したものではない。札幌駅新幹線ホームが向かって南側に位置する影響で,手稲行き各駅停車や特急への影響が大きい夕刻を念頭に議論を進めるあまり,朝ラッシュ時に関する議論を後回しにしていたのが実態である。朝ラッシュ時に関する議論は機会を改め,次の記事に委ねたい。とはいえ,札幌駅の需要集中という点では,今回対象とした夕方より深刻な状態にあることから,早急に筆を起こすべきなのは間違いない。


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